林業で山から搬出された丸太は木材市場へ市場当日を訪れてみました!

林業会社/森林組合

木材にも市場がある?
宝の山から良材を選り抜く


 
山林から伐り出された丸太は、どこでどのように売られているのでしょうか?
 
その多くは木材専門の市場に運ばれています。魚や野菜の市場は何となく想像がつきますが、木材はどんなふうに捌かれているのか気になります。
 
そこで、東白川村森林組合(岐阜県加茂郡)で行われている市場を例に、どんな場所でどんな空気感で行われているのか、市の当日を覗いてみました。

熟練の目利きが集う木材市場

全国に約400ヶ所ある木材市場。市場のみを専門に行う事業体もあれば、東白川村森林組合のように事業の一つとして市場を運営しているところもあります。ちなみに、全国にある約600の森林組合のうち、市場を運営しているのは約80組合(林野庁「森林組合の現状と課題より」)と、少数派の存在です。
 
東白川村森林組合で取り扱っている材は、村を中心とした周辺地域(白川町や八百津町)のスギ・ヒノキがメインです。自ら生産した材はもちろん、別の事業体からも出品されています。
 

 
この市場は毎月2回ほど開かれています。取材に訪れたこの日は、良材がいつも以上に集まる“記念市”でした。木材がズラッと美しく並べられた木材置き場で、一本ずつじっくりと品定めする買付人の姿が印象的です。正午からの入札に向けて朝から事前にチェックをしているのだそう。製材所や材木屋など、丸太を加工して柱や板材などに製品化・販売する人たちが買付にやって来ていました。
 
出品されている材の明細書にメモを書き込む買付人。買いたい材に目星をつけていきます。
 
明細書には土場に並んだ丸太の長さや直径、材積などの情報が載っています。
 
丸太に貼られているのは、出品材の番号が書かれた紙。
 
素人目にはどれも同じに見えてしまう丸太ですが、樹皮の見た目や丸太断面の色味、木目など、さまざまなポイントから良材かどうか見分けられるそうです。とは言え、すぐに習得できるものではなく、熟練の目利きになるには時間がかかる奥深い世界です。

緊張感漂う入札会場
良材を競り落とすのは誰だ

木材市場での購入方法は“競り”と“入札”の大きく2パターンあります。
競りは築地市場に近いイメージです。木材置き場に並んだ丸太をその場で一本ずつ競りにかけていきます。買い手の希望する値が公開されていることが大きなポイントです。
 
逆に、入札方式は買い手の入札額は開札まで非公開。公平性が保たれるというメリットがあります。東白川村森林組合は入札方式の市場で、“共販会”と呼ばれています。
 
共販会の始まりは正午。1番の出品材から順に入札がスタートします。奇数と偶数で1セットの流れになっていて、例えば1と2の番号が読み上げられると、買い手は入札額の書かれた各入札書を組合職員に手渡し、集まった入札書の中からもっとも高値をつけた入札者がすぐにその場で読み上げられていきます。その時間およそ15秒。どんどん次の入札へと進んでいきます。
 
入札書。該当する出品材の番号と入札希望額を記入します。赤は偶数の番号、白は奇数の番号。
 
入札会場。中央で立っている職員が縦横無尽に動き、入札書を受け取ります。
 
(左)集まった入札書を手早く捌いていく職員(右)もっとも高値のものが読み上げられます。
 
ちなみに、入札書はその場で書き込む人もいれば、予め書いておく人もいるようです。そのおかげでスピーディーに回っていきます。
 
この日は656番まで行われ、2時間ほどで終了。会場内の少し張り詰めた雰囲気、入札を進めていく独特の掛け声、集めた入札書を巧みにさばく動き、普段なかなか表に出ない光景は圧巻でした。

丸太はいくらで買える?

実際のところ、材の種類・寸法・クオリティなどによって千差万別です。今回のような入札や競りで一つずつ値をつける販売スタイルは、高く売れる良材が集まっているため、同じ種類・サイズの木でも材質によって単価は変動します。
 
市況が公開されている岐阜県森林組合連合会の木材市場を例に挙げると、直径16~18cm長さ3mのヒノキ丸太は17,500円/㎥が平均値です(19年12月10日岐阜共販所)。この丸太サイズは105mm角の柱材に加工するために適寸のもの。また、㎥は材積を意味し林業界における木材の基本単位です。
 
せっかくなので、1㎥は丸太(直径18cm長さ3m)何本分か換算してみましょう。
※材積を求める末口二乗法で計算
 
丸太1本の材積が、
0.18m×0.18m×3m=約0.097㎥
であることから、
 
1㎥÷0.097㎥=約10本分
ということが分かります。

市場を通じて届いているかも?
身の回りにある木材

山で伐り出された丸太がすべて市場を経由しているとは限りません。生産者から直接購入する人もいれば、また別の経路を通っていくものもあります。
 
ただ、何と言っても木材市場があることで、一度に大量の木材の買い手を見つけ出すことがでるのは大きなメリット。林業において欠かせない存在です。各地の山々から集められた丸太が、市場を通じてさまざまな場所へと旅立っていきます。
 
皆さんの身近にある木材も、どこかの山で誰かが育て、伐採して運び出し、加工されて形を変え、手元に届いているのです。そんな木材の背景を想像してみるのも一興ですね。