森や木への親しみを育むおもちゃ 子どもたちに身近な木の存在

森と暮らし

取材先:森のわくわくの庭、ぎふの木フェスタ

遊びの中で木を知る

子ども時代の最強の遊び相手・おもちゃ。ゲーム機のようなデジタル機器やプラスチック製のおもちゃなどが普及した今だからこそ、自然素材としての木の良さが見直されてきています。木の国・山の国とも言われる岐阜県では、子どもたちが木と触れ合うことのできる場の創出が広がっています。そんな、新たな取り組みの場として、飛騨五木株式会社が運営する「森のわくわくの庭」と岐阜県が主催する「ぎふの木フェスタ」の会場を訪ねました。

多様な木のおもちゃと出会う

まず訪れたのは、木製遊具が随所に散りばめられた屋内遊戯施設「森のわくわくの庭」(https://www.moriwakunoniwa.jp/)。施設名は、自分の家の庭のように思いっきり遊んでほしいという想いから名付けられました。すべり台やボルダリング、ボールプール、ブロック、子ども用バイクなど遊べるアイテムの種類は多彩です。

年齢に応じてさまざまな遊び方ができる木製の知育玩具も多数あり、森の中のように子どもたちが自由な発想で遊べるよう工夫されています。子どもたちは同じおもちゃを手に取っても、来るたびに新しい遊び方を発見するはずです。個性が“はじける”、十人十色の遊び方が日々ここで誕生しています。

建築端材から製作されたブロック。どれだけ高く積めるかな?

さらに、森のわくわくの庭で使われる内装材やおもちゃは基本的に国産の木が使用されています。日本のどこかの山で誰かが伐採して、丸太を運び出し、板材などに加工され、さらに職人が遊具やおもちゃとして仕上げる、という長い流れを経て、多くの人の手を通って、子どもたちの手元にたどり着いています。

森と木に関わる人々が子どもたちと触れ合う場

次に訪れたのは、子どもから大人まで一日まるっと“ぎふの木”に親しみ楽しめるようにと、岐阜県が平成29年度から毎年開催している「ぎふの木フェスタ」の会場です。岐阜県の担当者によると、来場者数は毎年2万人以上とのこと。

会場内には、木のおもちゃで存分に遊べる木のおもちゃ広場や赤ちゃん木育広場、岐阜県産ヒノキで製作された子どもアスレチックや巨大迷路、さらにはウッドチップ広場や木のジャングルジムづくりなどが登場して、それぞれ多くの親子連れでにぎわいを見せていました。

また、出展ブースのエリアでは所狭しとテントが並び、岐阜県内の森林・林業・木材産業の関係者が、自らの得意分野を生かしたワークショップや販売などが行われていました。ワークショップのブースをいくつか訪ねてみると、子どもたちはみんな真剣そのもの!夢中で木と向き合っている様子が印象的でした。加えてステージ上では、ぎふの木を使ってさまざまな競技を行う“ぎふモクリンピック”や迫力あるチェーンソーアートなども行われ、会場を大いに盛り上げていました。

会場内を歩いていると、「いい匂い!」という子どもたちの声が聞こえてきます。木に触ったり香りを嗅いだりすることで、五感で木を楽しんでいることが伝わってきます。
丸ごと1日ぎふの木を満喫して、木の良さや木と触れ合う楽しさを、遊びを通してみんなが自然と理解できるイベントになっていると実感しました。

木と遊んで気付くこと

実際のところ、遊びにふける本人たちにとって、手にしている木材が国産か外国産かどうかなんてことは関係のないことでしょう。

でも、遊ぶという行為を通じて、
「木のブロックを積むとこんな音がするんだ!」
「木のすべり台で滑ってもお尻が冷たくないなあ」
など、心の中で何となく木に対する印象を抱いたり、子どもたちなりの発見があったりするのかもしれません。

幼い頃から木の香りや肌触り、温度感、重さを知ることで、素材としての木に親しみを持つことにもつながるでしょう。

彼・彼女らが大人になってモノや家を買うとき、自ずと木が使われているものを選んでくれたならば、そうやってまた森や林業とつながっていきます。そんな萌芽を生み出す力が木にはあるのだと思うのです。

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