「かっこいい林業」を目指す、揖斐郡森林組合の挑戦

その他

― 未来につなぐ森づくりと、人づくりの現場から ―

「林業ってきついでしょ?」
そのイメージを塗り替えようと、現場から静かな変革が進んでいる場所が、岐阜県揖斐郡にあります。

私たちが取材した揖斐郡森林組合は、今、「かっこいい林業」の実現を目指し、働く人の誇りやチームワーク、ICTなどの最新技術の導入、そして何より“森を育てる”という社会的な意義に向き合いながら、静かに、でも確かに変革を進めている場所です。


「かっこいい」って、どういうこと?

参事の野原さんはこう語ります。

「まずは、見た目から。現場や作業の姿が“かっこいい”と思える林業を目指しています。仲間と希望をもって働き、誇りを持って森をつくる姿そのものが“かっこよさ”だと思います。」

業務部長の寺田さんは、

「胸を張って“林業やってます”って言えること。それが一番のかっこよさです。」と話してくれました。

そう、揖斐の林業は、誇れる仕事を目指しています。重機を操る姿、間伐で森に光が差し込む瞬間、チーム連携によるスムーズな作業の達成感。そうした積み重ねが、働く人にとっての誇りと魅力、「かっこよさ」になるのです。


働く人を大切にする。だから事故ゼロ。

揖斐郡森林組合では、令和4年7月以降、休業4日以上の労働災害ゼロを継続中です。現場では細かいトラブルもありますが、一人ひとりが安全への意識を高め、環境改善を皆で考える風土が根づきつつあります。こうした日々の積み重ねこそが、大きな災害を防いでいるのです。

さらに、電波の届かない山中でも事務所と現場をつなぐ通信システム「スターリンク」を、今年から本格導入。昨年の実証実験を経て、事務所とのリアルタイムなやりとりが可能になり、「つながっている」という安心感が生まれました。 この仕組みは、ICTを活用したスマート林業への大きな一歩です。


月給制と完全週休2日制。実は20年前から改革中。

林業の世界では珍しい、月給制・完全週休2日制を導入している揖斐郡森林組合。しかもこれは、最近始めたのではなく、20年も前から実施してきた取り組みです。

「人が集まりやすいように」「家族との時間を大切にできるように」といった思いから、制度を整え、現場で働く人の声を大切にしてきた結果、職場の雰囲気はどんどん明るくなってきたそうです。


森林×ICT=スマート林業。若手も活躍中!

実際の現場では、20代の若手も活躍しています。
林業歴20年以上の花木さんはこう語ります。

「林業は生活の一部。間伐した森が明るくなったとき、本当にやりがいを感じます。」

また、入社して間もない林さんは、

「思った通りにスムーズに集材できた瞬間、かっこいいって思いますね!」
と笑顔で話してくれました。

彼らの声からも、「林業=特別な仕事ではなく、自分の選んだ、誇れる仕事」という意識が伝わってきます。


森とともに、人も地域も育てたい。

揖斐郡森林組合では、「日本一かっこいい林業交流施設」の建設にも取り組んでいます。
森林組合がもっと身近に、地域の子どもたちが「林業っていいかも」と思えるような場所へ。

さらには、ニホンザルと共生する森づくりにも挑戦します。捕獲ではなく、ニホンザルが安心して暮らせる環境を整えることで、人と自然が共に生きる場所を取り戻す、そんな“揖斐モデル”を、今後全国に発信していきたいと考えています。


こんな人に来てほしい!

野原さんは、「スキル?いらないです。チームワークを大切にできる元気な方、大歓迎! 地域の森林管理を担うプランナーも募集中です!」と話します。

「林業ってかっこいいかも」――そんな気持ちが少しでも芽生えたら、インターンもいつでもOKとのこと。

あなたも、揖斐の森を育てる仲間になりませんか?
今、未来へつながる道がここから始まります。


少し立ち止まっているあなたへ

森に行って、空を見上げてください。
その一歩が、「かっこいい林業」の仲間入りになるかもしれません。