次世代に求められる事業、未来に向かう人材を育む

林業会社/森林組合

取材先:揖斐郡森林組合

揖斐郡の87%を占める
多種多様な森林を守り継ぐ

揖斐郡3町を管轄し、揖斐川町に事務所を構える揖斐郡森林組合


岐阜県西濃地域の中でも福井県との県境に位置する揖斐川町を含んだ、揖斐郡の3町(揖斐川町、池田町、大野町)で事業を展開する揖斐郡森林組合は、1995年に7つの組合が合併した県内で最初の広域森林組合です。揖斐川の源流にある険しい山々から濃尾平野西端の緩やかな山林まで、幅広いエリアで活動し、次世代を見越した事業やそのための人材育成に取り組んでいます。

若手技術者を積極的に採用して
地域の木をいかす素材生産を強化

揖斐郡森林組合で代表理事専務を務める古野利仁さん


「この地域の木は、戦後に植林されてから70年以上が経過していて、伐期を迎えています。せっかく育てた大切な木だからこそ、できる限り市場に出材して、利益を森林所有者に還元したいと考えています」と話すのは、代表理事専務の古野利仁さん。こうした思いから、揖斐郡森林組合では素材生産に力を入れており、2022年7月からは素材生産を担当する林産班を2班から3班に増強しました。
林産班の原動力となっているのが、若手職員たち。現在、揖斐郡森林組合には30代以下の若手職員が10名在籍しています。週1回行っているミーティングでは、作業の進捗状況のほか、市場でどんな材が売れているかなどの情報を共有。さらに、効率的な作業に向けて全員で意見を出し合っています。「若手職員は経験が少ない分、先入観なく客観的な意見を出してくれるので、ベテランも学ぶところが多くある」と語る古野さんは、若手にも積極的に意見を求め、実際の作業にいかしています。
3班体制にしたことで行動範囲も広がり、生産性もアップしたという素材生産。古野さんは「人材のさらなる採用を見据えて、昨年は賃金もベースアップし、就業条件も改善しました。今後も人員を増やしていきたいです」と話します。揖斐郡森林組合では、オリジナルのロゴマークをデザインするなど、若手獲得に向けたイメージアップにも取り組んでいます。

林産班を1班増やし、強化した素材生産


前職でデザインを手がけていた若手職員がオリジナルのロゴマークを作成

廃棄する木くずまで無駄にしない
地球と地域の未来を考えたリサイクル事業

これまで廃棄されていた枝葉を回収


「地域の木を最大限にいかしたい」そう考える揖斐郡森林組合では、1998年から木質破砕事業を開始しました。素材生産では、伐採した木を丸太にする際に、枝葉や梢端部分を取り除きます。これまでは取り除いた部分を廃棄していましたが、現在は破砕機でチップに加工し、木質バイオマス活用を行っています。
また、車道や歩道などの上に枝葉が張り出し、妨げとなっている支障木も、伐採後、枝や根株などが産業廃棄物となるため、同様にチップ化し、リサイクルしています。さらに揖斐郡森林組合では、庭木を剪定した枝やダムの流木などの一般廃棄物も受け入れを実施。破砕により生産されたチップは、荒いものは木質バイオマス発電所の燃料に、細かいものは畑などの土壌改良材として利用されています。
古野さんは「木質バイオマス発電など自然環境にやさしいエネルギーは、今後必要性が高まっていくはずです。森林を守る者として、環境保全につながる事業は積極的に推進していきたいと思っています」と、時代のニーズに応える木質リサイクルの取り組みに力を入れていく姿勢です。

回収した枝葉を破砕機でチップ化し、木質バイオマス発電燃料などとして活用


地域の企業や住民からも一般廃棄物の受け入れを実施

地域の未来を見つめて
森林を育むプランナーたち

平野大介さんは2004年に林業へ転職し、現場での仕事を経験後、プランナーとして活躍


地域の森林保全に取り組む揖斐郡森林組合には、森林の未来を考えて森林整備計画を作成する森林施業プランナーが在籍しています。その1人である平野大介さんは、2004年に中途採用で揖斐郡森林組合に転職。前職では転勤が多かったため、地元に根付いた仕事をしたいと林業を選択しました。
入職後は、木質破砕したチップを加圧して板にする工場や、現場で森林技術職員としての仕事を経験。その経験をいかして、2021年からプランナーの仕事を始めました。現場の仕事を知る平野さんは、生産量だけを追い求めるのではなく、これから山をどのように成長させたいかを考えてプランを立てることを大切にしているといいます。
「比較的に若い木が多い地域では、素材生産に適した材になるまでにもう少し時間を要するため、一気に伐り過ぎず木を育てていくことも考える必要があります。間伐する際も、他の木を極力傷つけないこと、また必要以上に作業道を広くし過ぎず、自然な状態を保つことを重視しています」と話す平野さん。また、現場の仕事を知っているからこそ、「森林技術職員の働き方を改善できるようなプランを立てられることも、プランナーの魅力です」と笑顔を見せます。

2002年にサービス業から林業に転職し、現在は業務課長を務める寺田啓起さん


業務課長を務める寺田啓起さんも、平野さんと同じく中途採用で揖斐郡森林組合に入職しました。西濃地域で育った寺田さんの実家は、森林を所有。寺田さんは、一度はサービス業界に就職したものの、「せっかく森林を所有しているなら、森林のことについて勉強したい」と考え、林業への転職を決意したといいます。
最初からプランナーとして採用された寺田さんは、働きながら必要な資格を取得。その後も、岐阜県地域森林監理士や岐阜県森林経営プランナーの認定などにも、積極的に挑戦してきました。現在は、森林所有者の同意を得て整備する森林を測量し、プランを提案したり補助金申請を行ったりする業務をこなしながら、業務課をまとめています。
未経験からスタートし、管理職として活躍する寺田さんは、「転職前は林業に対して、体力的な負担が大きく、職人気質の人が多いのではないかというイメージがありました。でも実際に働いてみると、先輩が気さくでやさしい人ばかり。プランナーの仕事は事務仕事が多く、土日祝日も基本的に休日が取れるので、体の負担も少ないです。資格も働きながら取れるので、気負わずチャレンジしてほしい」と、林業を目指す人にエールを送ります。
揖斐郡森林組合では、平野さんや寺田さんのように他業種から転職してきた職員も多く、今後も経験を問わず林業に魅力を感じる人材を積極的に採用していきたいとしています。

プランナーとしてこれからの森林づくりに取り組む平野さん(左)と寺田さん(右)

関連動画



関連リンク

揖斐郡森林組合ホームページ
揖斐川町ホームページ